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水道事業の沿革・企業団の創設とあゆみ

水道事業の沿革

当企業団の水道は、当初赤穂郡相生町(現:相生市)の水道事業として、昭和11年10月12日付けで創設認可を受け、直ちに工事に着手、昭和14年3月に完成し、同年4月から給水を開始しました。この創設事業は、当時の揖保郡半田村野田(現:たつの市揖保川町野田)に水源地を築造して相生町千の山配水池(現:相生市大谷町)へ送水し、町内の各所へ計画給水人口20,000人、計画1日最大給水量3,050㎥(うち造船所分:給水人口5,000人、給水量550㎥を含む。)で給水するものでした。

その後、社会・経済の発展と生活水準の向上に伴い昭和30年2月14日付けで第1次拡張事業の認可を受け、同年4月に工事に着手、昭和33年10月に完成しました。この事業は赤穂市坂越に水源地を築造し高取トンネル配水池へ送水して相生市の西部地区へ給水する事業で、計画給水人口35,000人、計画1日最大給水量11,550㎥と施設能力を拡張しました。さらに、昭和37年1月12日付けで第2次拡張事業の認可を受け、昭和40年12月から昭和42年8月にかけて配水管整備工事を施行しました。

しかしながら、水需要は増加し新たな水源地の確保が急務となり、昭和41年11月29日付けで第3次拡張事業の認可を受け、昭和42年4月に工事に着手、昭和45年3月に完成しました。この事業は、龍野市揖保町中臣(現:たつの市揖保町中臣)に龍野市と共同で水源地を築造し相生市の那波野配水池へ送水する事業で、計画給水人口45,000人、計画1日最大給水量19,000㎥と施設能力を拡張しました。また、市街地周辺地区の井戸水の枯渇と水質の問題等を解消するため、坪根、野瀬・鰯浜、若狭野町及び矢野町の各地区に簡易水道事業を設置しました。

一方、揖保川町においては、神部・半田地区で、相生市の水道事業から給水を受ける区域外給水として水道が普及しました。また、南部に位置する河内地区では、独自に河内簡易水道創設事業として昭和33年10月30日付けで認可を受け、直ちに工事に着手、昭和34年3月に完成し給水を始め、以降2回の拡張を経て河内地区全域に水道が普及しました。

企業団の創設とあゆみ

このように、昭和30年代から昭和40年代にかけて水道の普及はめざましく、この間において全地域へ給水が行われました。この地域的な広がりに加え、給水需要はますます増加し、これに対処するため新しい水源地の開発が必要となり、昭和47年2月24日付けで第4次拡張事業の認可を受け、同年4月に工事に着手しました。相生市は水資源に恵まれない自然的・地理的条件のため、創設事業と同様に隣接の揖保川町に水源を求めましたが、水源地の補償問題が難航したこともあり、将来の水道行政と本事業の円滑な遂行を図るため、昭和48年9月1日に新たな形態として相生市と揖保川町で「相生揖保川水道企業団」を創設しました。この企業団の発足により諸問題を解決し、昭和54年3月に第4次拡張事業が完成しました。この事業は、揖保川町市場に計画1日最大給水量20,000㎥の水源地を築造し、相生市の旭配水池へ送水する事業で、完成によって計画給水人口65,000人、計画1日最大給水量39,000㎥と大きく施設能力が増大し、それまでの水不足を一挙に解消して、安定した給水ができるようになりました。

一方、御津町の水道は、昭和31年2月20日付けで水道事業の創設認可を受け同年4月に工事に着手、昭和33年8月に完成しました。この事業は、計画給水人口12,000人、計画1日最大給水量2,160㎥で給水を始め、その後、昭和51年8月に第1次拡張事業が完成し、計画給水人口14,000人、計画1日最大給水量6,480㎥と全町内に水道が普及しました。しかしながら、産業の発展により水質に問題が生じ、昭和54年7月11日付けで御津町から企業団へ加入要望書が提出されました。

当時、国や県において水道事業の広域化が推進され、水資源の効率的な利用が唱えられている状況でもあった中、相生市・揖保川町・御津町は、地理的に東の1級河川揖保川と西の2級河川千種川に挟まれた互いに隣接しあう市町であるため、種々の協議を重ねた結果、昭和57年10月1日に加入の議決がなされ、同年12月6日付けをもって名称を「西播磨水道企業団」に改め、相生市・揖保川町・御津町を構成団体とした新たな企業団の発足となりました。

西播磨水道企業団の発足に伴って昭和58年3月31日付けで認可を受けた第5次拡張事業は、相生市・揖保川町・御津町内の上水道事業の統合と簡易水道事業の廃止、また、市場水源地から御津町へ送水する工事を施行して同年4月から通水を開始するもので、計画給水人口75,000人、計画1日最大給水量48,000㎥と拡張しました。本事業の完成で、水道事業の広域化、水需要の均衡化、有効配分による安定した水の供給、水道施設建設などに係る重複投資の回避をすることができ、さらには、水道料金を平均19.0%増とする改定統合の実施と事務の効率化が可能となりました。

その後、各構成団体において下水道事業及び集落排水事業などが行われ、当企業団もその事業に並行して配給水管などの移設・改良工事を施行しました。しかし、それに伴う資本費の増加が財政面を厳しいものにしていたため、平成8年度に、平成9年度から平成12年度までの4年間の財政計画を策定し、平成9年6月から水道料金を平均10.3%増とする改定と消費税率の改定を実施しました。

また、播磨自動車道の建設に伴い榊水源地の取水ダムが道路用地となるため、揖保川水系から送水する工事を平成9年度から平成11年度にかけて施行し、森加圧所外を新設しました。

次に、水道未普及地区を解消する事業として平成12年3月28日付けで第5次拡張事業の変更認可(第1回)を受け、相生市矢野町釜出・能下地区を給水区域に編入するに際し、給水人口と施設能力の見直しにより計画給水人口64,200人、計画1日最大給水量40,000㎥とし、集落排水事業の施工に併せて配水管布設工事を実施し、平成14年3月に竣工しました。続いて、平成15年12月1日付けで第5次拡張事業の変更認可(第2回)を受け、野田南水源地の浄水処理施設築造に係る工事が平成16年3月に竣工しました。

このように、数次にわたる拡張事業等により、安全で良質な水道水の供給を図ってきましたが、河川の水質汚濁の増大や汚染物質の多様化、クリプトスポリジウムが問題視されるなど、全国的な水道水源の水質管理のあり方が問われるようになりました。そこで、適正な浄水方法の採用と運用により、それまで以上に安全な水を供給するため、平成17年4月28日付けで第6次変更事業の認可を受け、直ちに着手しました。この事業では、新たな浄水処理施設整備の一環として給水人口と施設能力の見直しにより計画給水人口57,800人、計画1日最大給水量32,100㎥とし、平成17年度から平成19年度にかけて市場水源地に前処理・膜ろ過施設を導入しました。また、平成17年度から平成22年度までの6か年計画で、市場・野田・揖保(たつの受水)水源地の高度浄水処理施設築造に係る浄水方法の変更と、国道250号線ルートの配水系統の整備を実施し、平成21年度には野田水源地に急速ろ過施設を導入しました。

この事業の間に、平成17年10月1日付けで龍野市と揖保郡新宮町・揖保川町・御津町の1市3町が合併して「たつの市」が発足し、構成団体が相生市とたつの市の2市となりました。この合併による給水区域及び水道料金の変更はありません。

平成22年度には、経営健全及び経営基盤の強化を図るため水道事業基本計画策定委員会を設置し、水道事業基本計画及び水道ビジョンを策定しました。それを基に、平成24年3月31日付けで第7次変更事業の認可を受け、計画給水人口55,400人、計画1日最大給水量33,000㎥とし、坂越・真広・揖保水源地の浄水方法を変更しました。また、平成24年度から平成28年度までの5年間の財政計画を策定し、平成24年8月使用分から水道料金(消費税額を含む。)を平均9.8%増とする改定の実施と、平成25年度から平成27年度までの3か年計画で、老朽化が著しい坂越水源地に原水濁度及びクリプトスポリジウムの対策として高速凝集沈殿及び複層式急速ろ過施設を導入するなどの全面更新を施工しました。平成26年4月1日には、消費税率の5%から8%の引上げに伴い、水道料金を総額表示から税抜き単価表示とする給水条例の改正を施行しました。

高度経済成長期の水需要に応えるため、相生市(企業団発足前)と龍野市(現:たつの市)は、昭和41年7月に締結した「水道用水の分水に関する協定」によって共同で揖保水源地を築造し、昭和43年9月、水源地を管理する龍野市からの受水を開始していました。築造から40年以上経過し、老朽化を迎えた施設の整備のため協議を重ねた結果、施設は各々で整備することとし、平成22年2月1日付けで施設規模、事業用地等に関して定めた「揖保水源地高度浄水処理施設整備計画の実施に関する協定」を締結しました。その後、更新事業計画及び財政計画の見直しを図り、既存の自己水源のみで給水可能となるよう水道施設を整備し、平成29年3月31日をもって同協定を廃止しましたが、地震その他の災害等により、当企業団・たつの市それぞれの給水区域で給水不能となった場合に備え、「上水道相互応援給水に関する協定(平成29年4月1日施行)」を新たに締結しました。

平成22年度の水道ビジョンの策定後、経営健全化及び経営基盤強化を図ってきましたが、給水人口や給水量の減少、施設の老朽化による更新需要の増大、東日本大震災の経験による危機管理対策の見直しなど、水道事業を取り巻く状況の大きな変化を踏まえ、厚生労働省が平成25年3月に策定した「新水道ビジョン」と当企業団の水道ビジョンを基に、平成30年3月、新水道ビジョン(経営戦略)を策定しました。

令和元年度は、市場水源地において老朽化した取水ポンプ施設の更新を行い、また真広水源地では凝集剤注入設備を導入して、凝集沈殿処理ができる急速ろ過機に改造し、濁度が5度までの原水を基準値(2度以下)に浄水処理できる施設としました。

令和2年度は、国の政策として取りまとめられた「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」で、浸水災害により大規模な断水を生じるおそれがある浄水場とされた市場水源地において、被害最小化の観点から、主要な施設への水の侵入を防止し当該施設の機能を停止することなく運用するための浸水対策工事を、国庫補助事業として実施しました。また、渇水時期の水運用に支障を来さぬよう市場水源地に補助取水井を築造しました。さらに、付近住民への騒音と老朽化が問題であった大谷加圧所は、防音対策をした施設として新たに築造しました。

このページに関するお問合せは、西播磨水道企業団 総務財政課 総務係 Tel 0791-22-7123